【重要】ビオチン服用についての注意喚起

サイトをご覧の皆様

本日はビオチン服用にあたり、大事なお知らせがございます。
掌蹠膿疱症患者にとってのビオチンは特効薬ではございません。またビオチンの服用もお勧めしておりません。

当会顧問医(聖母病院 皮膚科部長 小林里実先生)による【ビオチン服用についての注意喚起】を掲載いたします。
ぜひお読みください。

<ビオチンが臨床検査に干渉すると誤った検査結果につながる可能性があります>

多くの臨床検査で、測定する物質の抗体にビオチン化試薬が使用されています。例えば、ホルモン検査、心筋障害を調べるトロポニン検査、腫瘍や感染マーカー、HIVの検査などです。
ビオチンを大量に摂取すると、その方から採取した血液などの検体中に含まれるビオチンが試薬に結合したり競合したりして、誤った検査結果を引き起こし、臨床的に重大な判断の誤りにつながる可能性が報告されました。米国食品医薬品局(FDA)は、2017年に心臓発作の診断に重要なトロポニン検査が偽陰性となり適切な治療が行われずに死亡した1例を報告し、2019年11月5日付で、過剰なビオチン摂取により検査値異常が発生することを警告しました。それに伴い、厚生労働省からも注意喚起が出されていました。ビオチン化試薬を用いるホルモン、感染マーカー、腫瘍マーカーなどが、実際の数値より高値や低値の異常値となる可能性があるということです。
多発性硬化症やホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症などの特定の疾患では、治療としてビオチンが投与されています。それに加え、日本では高濃度ビオチンが皮疹や骨痛を軽減させる効果があるという経験から、掌蹠膿疱症や掌蹠膿疱症性骨関節炎において治療の補助療法として用いられることがあり、自己輸入して服用する患者さんもいらっしゃいます。そもそも、ビオチンは症状を緩和させる効果しかありませんが、水溶性ビタミンのため、副作用がほとんどないと考えられてきたからです。しかし、近年、ビオチン化試薬を用いたイムノアッセイ検査が増加傾向にあり、これらが日常的に行われること、掌蹠膿疱症に対して有効な治療法や治療薬が増えつつあることから、ビオチンを服用することによるリスクや不都合を考えると、掌蹠膿疱症や掌蹠膿疱症性骨関節炎の治療としての服用は推奨出来ないという考えに至りました。血液中のビオチン濃度が高い状態では、ホルモンや腫瘍マーカー等の検査で誤った数値が得られたり、緊急時の検査に干渉したりなど、重大な誤診を誘発するリスクとなるからです。
FDAはビオチンの一日推奨摂取量を0.03㎎としています。日本では、治療としての一日投与量は成人で1日0.5~2㎎です。日本で処方される0.2%ビオチン製剤には一包0.5gと0.75gがあり、各々、ビオチン1㎎、1.5㎎を含有します。米国では、1~30㎎のビオチンは中~高容量とされ、ビオチン10㎎の服用で甲状腺ホルモン値が高値を示し、甲状腺刺激ホルモンが低値を示すことが報告されています。血中濃度は、服用後1.5時間でピークに達し、半減期は平均15時間ですが、検査のどのくらい前に服用を中止すればよいかは服用量や検査方法によって異なる可能性があります。これまで継続的に服用されていた方は、内科など主治医の先生に、服用していたビオチン量をお伝えください。
今後、日本皮膚科学会等より正式な見解が発出されましたら、あらためてご報告いたします。情報提供が遅れましたこと、心よりお詫び申し上げます。

聖母病院皮膚科 小林里実

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