掌蹠膿疱症性骨関節炎しょうせきのうほうしょうせいこつかんせつえんの治療

掌蹠膿疱症性骨関節炎しょうせきのうほうしょうせいこつかんせつえん患者さんの治療は、症状緩和はもちろんのこと、関節変形予防および合併症のリスクを最小限に抑えることが期待されるため、すべての患者さんに積極的な治療が推奨される。
しかし、現在のところエビデンスレベルの高い治療研究データが不十分であり、単一の最適な治療ガイドラインは見当たらない。
無作為化試験は行われておらず、治療へのアプローチは、主に症例報告、症例シリーズ、専門家の意見からの情報によって導かれ、個々の患者さんの病状に基づいて行われているのが現状である。
治療方法の一提案としてUpToDATE 2018 Topic 99510 Version 2.0から引用して解説する。
本邦の保険未収載薬も含むため治療を受ける際には注意が必要である。

薬物治療(本邦保険未収載薬も記載あり)

骨・関節症のみの患者さん(皮膚症状は消失)

非ステロイド性抗炎症薬(NSAID:痛み止め)を用いた初期治療が推奨される。 NSAIDの障害は、通常、少なくとも2つのNSAIDによる4週間の治療後に効果判定することができる。
短期間の経口グルココルチコイド療法(1日あたりプレドニゾン10〜20mg)により改善することができるが、これは2〜4週間の治療に限定される。
これらの初期治療に反応しない患者さんでは、海外では第二選択肢治療法として、サラゾスルファピリジン(未保険適応)やメトトレキセート(MTX 、未保険適応)および腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬(未保険適応)等の生物学的製剤も報告されている。

末梢性関節炎の患者さん

胸壁炎(前胸部の疼痛)や滑膜炎、仙腸関節炎、脊椎炎(首・背中・腰・骨盤)などの体軸性病変(体の軸の中心部分の症状)のない患者さん。
まずサラゾスルファピリジン(未保険適応)やMTX(未保険適応)投与を試みて、投与3ヵ月後の治療反応性が不十分な末梢性関節炎の患者では、TNF阻害剤(未保険適応)による治療が行われる場合がある。

NSAIDに反応しない体軸性疾患(仙腸関節炎、脊椎炎)患者さん

TNF阻害薬(未保険適応)が選択薬として使用される場合がある。MTX(未保険適応)はしばしば体軸性症状を十分に改善しないと報告されている。
コルヒチン(未保険適応)およびスルファサラジン(未保険適応)は、NSAIDsに十分に反応しないかまたはNSAIDsに耐えられない軽度の関節炎の患者さんに用いられる。
一般的に耐容性の良い代替第2選択療法である。

NSAIDに反応しない体軸性疾患(仙腸関節炎、脊椎炎)患者さん

(ⅰ)掌蹠膿疱症皮膚症状しょうせきのうほうしょうひふしょうじょうが強い患者さん

広範な掌蹠膿疱症を有する患者さんでは、レチノイドは掌蹠膿疱症しょうせきのうほうしょうに有効であり、骨関節症の症状を改善する可能性があるため、経口レチノイドが好ましい第一選択薬である。

(ⅱ)通常の治療法に抵抗する掌蹠膿疱症性骨関節炎しょうせきのうほうしょうせいこつかんせつえん

皮膚および骨および関節徴候の標準的な治療法に反応しない患者さんには、

ビスホスホネート・抗インターロイキン(IL)-1療法・抗IL-12/23または抗IL-17療法が検討される。
(いずれも保険未収載)

2018年 抗IL-23p19モノクローナル抗体(Guselkumab)が世界に先駆けて本邦で掌蹠膿疱症に対して保険適応となり、皮膚症状の強い患者さん(関節症状を含む)への新たな治療薬が追加された。

関節内注射

胸鎖関節および胸肋関節の関節内グルココルチコイド注射の効果が報告されている。

病巣感染部の治療

掌蹠膿疱症性骨関節炎の原因の一つとして、慢性感染症の存在が挙げられています。
特に、口腔内の扁桃・歯根部・副鼻腔の感染巣の検索が大切です。

  1. 慢性扁桃炎(いわゆる“へんとうせん”)
    小児期によく扁桃が腫れていた患者さんや現在も扁桃が腫れたり、痛みが出現する患者さんは適切な検査を行い、扁桃摘出手術が効果を認めることがあります。
  2. 慢性歯髄炎・歯根部膿瘍・歯槽部感染・歯槽膿漏
    いわゆる“歯の根“の治療(歯の神経を抜く・掃除する)が十分でなく、慢性的な感染が存在する場合は、病巣部の抜歯が治療効果を上げることがあります。
    歯科の先生と担当の先生の医療連携を行っていただくことが肝要です。
  3. 慢性副鼻腔炎(いわゆる“ちくのう“)

このように体のいずれかの部分に、“慢性的な感染“が存在することで掌蹠膿疱症や掌蹠膿疱症性骨関節炎が発症したり、症状が増悪することが報告されています。
一度 感染巣の確認を行いましょう。

理学療法(リハビリテーション)

胸郭や脊椎の拘縮(関節の動きが制限されること)・強直(骨が結合すること)予防のために、ストレッチおよび運動療法が適応です。

まとめ 

掌蹠膿疱症性骨関節炎の治療は、現在のところ国際的および本邦での治療ガイドラインが無いため、担当の先生との十分な説明を受け治療を行っていくことが大切です。

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